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@teamster

BASIC member -7 karma
でも、依織に対しての執着心は強かったと思う。「好きになったら、面倒くさいタイプかも」「へぇ。どの辺が?」「何から何まで全部。好きな人のことは、多分何でも知りたくなるし」依織のことは、何でも知っていないと気が済まなかった。「だから、私は執着心のない久我さんとは全く違うタイプなの」「ハハッ、そうだね。今のところは、ね」今のところはという言葉が少し引っ掛かったけれど、すぐに久我さんが話を変えたため私はその引っ掛かりをスルーした。「仕事は順調?」「相変わらず、毎日激務よ。来週からは夜勤が多くなるし。そっちは?」「僕も今月はちょうど来週から出張が入ってて忙しくなりそうかな」互いの仕事の話をしながら、ビールを片手に、宮崎地鶏の炭火焼きと、いかの塩辛をのせたじゃがバターを堪能する。私、今、癒されている。そう思わずにはいられないくらい、私はこの時間を満喫していた。けれど、その時間は長くは続かなかった。私と久我さんが入店して一時間ほどが経過した頃、一人の女性が来店した。「いらっしゃいませー。空いてる席、どうぞ」何気なく店の入口に目を向けると、今来店したばかりの女性が目を輝かせてこちらの方に近付いてきたのだ。そして、彼の名前を口にした。「久我さん!」二十代半ばくらいだろうか。綺麗に巻いたロングの髪に、いかにも男ウケしそうな清楚なワンピース。どこにでもいるような、美意識の高い可愛い系の女子だ。正直、この汚くて狭い飲み屋には相応しくないと思った。「野崎さん、偶然だね」「実は、松田部長から久我さんの行きつけの店がここだって教えてもらったんです。それで、もしかしたら会えるかなって」彼女は何の遠慮もなく、久我さんの隣に立ちカルアミルクを注文した。私と彼女が久我さんを挟み、三人で並んで立っている状態だ。彼女はキラキラした表情を見せながら久我さんを見上げ、会えて良かったといった内容の話を続ける。久我さんに会えて、よほど浮かれているのだろう。彼女が私の存在に気付いたのは、注文したカルアミルクを飲み始めてからだった。そして気付かせたのは、久我さんだった。「野崎さん。悪いんだけど、今日は連れがいるから」「え?あ……ウソ、すみません!お連れの方がいらっしゃったんですね」彼女は目を見開きながら、申し訳なさそうに私に会釈をした。私も居心地の悪さを感じながらも、彼女に軽く会釈した。「お二人は……お付き合いされてる
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